この作品の上映当時、士郎正宗氏の作品が映像作品として世の中に出てきたが、どれも原作とは程遠い作品が多かった・・・(当時の製作側の考え・・アニメ=漫画=メカ・カワイイ女の子・アクション・・をてきとーに盛り込めば売れると思ってた時代?)そんな中で、この作品だけは群を抜いて素晴らしい出来でした!厳密にいえば押井ワールドの色が濃い作品ではあるが、原作の一番表現したい世界を皆に観せた最高の一品でした!今観ても素晴らしい出来の作品だと思います。
『マトリクス』はおろか、ハリウッドの監督にアニメ的画面レイアウトとレンズ効果が、いかにインパクトがあるか気づかせた点は確かに凄い。この事はウォシャウスキー兄弟にとどまらないだろう。海外での評価が高いのは、明らかにあの作品の『再来』としてうつったからだと思える。つまり『ブレード・ランナー』だ。作品自体のモチーフが酷似している上に、リドリー・スコットが渇望した、日本とも香港ともいえるテンションを持つ未来都市。一方で西洋でありながら一方で雑然とし、荒廃したエキゾチックな街並みを攻殻でも魅せつけている。そして、宗教的モラルがネックになり、人体をリセット出来ない世界観を持つ西洋人は、宗教的に実はニュートラルな日本人監督のドラスティックで、ある意味異端とも云える感覚に「なんてクールだ」と、固まってしまったのだろう。そして、追い討ちを掛けたのが、人間とアンドロイドと云う、ブレード・ランナー=ディックの描いた世界観より、ピースが一つ多い、人間とアンドロイドとサイボーグ=士郎正宗と云う、新たな基準を導入し、さらに、トドメとして人と機械の融合をナーバスだが決然として実行してしまった点にある。上記の、人間の『4形態』が一作品上において全て登場する映画がハリウッドでは『マトリクス』を含め今だ製作されていない事実は注目に値し、この分野では今しばらく、日本アニメの武器と成り得る、独壇場だと思う。それ故、実に惜しいと思えるのは、士郎正宗のテイストが押井ワールドに取り込まれ、ストーリーのスピード感が減衰し、画面が理路整然と整理されてしまい、近年の押井作品同様、原作の持つギャグや逃げの手段でないエロテックさと、情報過多な画面の特殊性が削除されてしまった事だ。それが盛り込まれていれば完璧であったのだが...。いずれにしても、これだけは云える。ハリウッド映画に方向修正を与えた傑作に間違いは無い、と。84点。
~パトレイバー劇場版の時もそうでしたが、本作公開当時、映像、音楽、音響の斬新さにひたすら魅了され(原作はあとで読みました)、思わずLDボックスを買ってしまった私ですが、やっと安くなったDVDですので、今回は買っちゃいます。それにしても日本版アニメのDVDってなんでこんなに割高なんでしょうね。SACシリーズだって、内容はいいんだけど、2話であの値段じ~~ゃねえ(せめて4話にして欲しい)。アニメに限らず、米国版の値段ってなんであんなに安いんでしょうね。