破天荒でエロ・グロ・ナンセンス三拍子そろった設定とストーリー。どんな映画か全く知らずに見た私はあっけにとられてしまったが、とにかくロックが大好きなので、倒錯と混乱の中で切なく響くこの叙情性がロックのロマンなんだなぁ、などと勝手に思いつつ、ノリのよい演出と俳優たちの見事な歌唱力もあって、終わりまで楽しく見ることができた。この点が、この映画の評価を分けるのかもしれない。デヴィッド・ボウイなどが好きな人はぜひ見るとよいだろう。「地獄のロックライダー」で有名なミートローフによる一気呵成のパフォーマンスも実に痛快。
説明不能。好きか嫌いかはあなた次第よ、とフランクン・フルターのえぐい顔にウィンクされたら、そこから先は自己責任で倒錯の世界へ。映画はアメリカ製で舞台もアメリカだけれど、ブラックなユーモアや脱力感たっぷりのお笑いのディテールはやはり、このミュージカルが生まれた英国のテイストがたっぷり。見るときは一人じゃなくて仲間と一緒に、大きな画面で見たほうが絶対に楽しい。ストーリーのナンセンス滅茶苦茶加減とは別に、サウンドトラックはマトモに素晴らしい。時代を超越した不滅のロックオペラとして残る作品だと思う。