妖星ゴラスの作品としての素晴らしさは、御承知の方も多いと思いますが、ここでは、当時の製作スタッフのエピソードを御披露します。私は、この作品の本編の監督である本多猪四郎氏にファンレターを送ったことがあります。その手紙の中で、本多監督への質問として、御自身のお気に入りの作品ベスト3を挙げてくださいとたずねました。本多監督は、たいへんお優しい方でしたので、こんな質問にも丁寧に答えていただき、1位が「ゴジラ(昭和29年作)」、2位が、この「妖星ゴラス」でした。意外に思う方もいらっしゃるかもしませんが、本多監督の自信作だったんですね。ちなみに3位は、「空の大怪獣ラドン」でした。
東宝特撮映画ではゴジラシリーズの方が目立っているが、この「妖星<BR>ゴラス」は公開当時の「1962年最大のトリック巨編」というキャッチ<BR>フレーズのとおりの巨編である。<BR>「地球最後の日」に似たストーリーだが、スケールの大きさ、特撮技<BR>術(宇宙空間でロケットの尻から噴煙というチャチなものはここには<P>一切ない)、豊富な見せ場(宇宙空間のゴラスとの戦い、南極での困<BR>難、ゴラス接近の破壊シーン…)そしてキャストの充実(脇役に西村<BR>晃、小沢栄太郎まで出演)などにおいて内外の地球危機映画を凌いで<BR>いる。見直すほどによくできたSF映画であり、鮮明なDVD画像を手元<BR>に置く価値が十分ある。
小学生のころ、都合5回観た。無論劇場で。<P>主人公は「星」。<P>数ある特撮ものの中で、発想の点で他の追随をゆるさない、金字塔的作品。ゴジラとかモスラは局地的な被害だが、ゴラスは地球全体が滅ぶかもしれないという設定。ノストラダムスの大予言を彷彿とさせる内容。海水の満ち干に月の引力が作用しているということが学校で教わる前にわかった等々、科学教育的にも秀作。南極の怪獣は確かに余計だが、怪獣ものが盛んだった当時としてはどうしても避けて通れぬアイテムだったから割り引くとしても、トータルでは日本SF映画を代表する出来映えとなっている。池部良も魅力的。これを観ずして日本の特撮映画を語るなかれ・・・