| もっとしなやかに もっとしたたかに
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70年代に台頭したニュー・ファミリー神話の崩壊を描いた藤田敏八監督の傑作。とにかく、主人公の奥田英二(瑛二)を振り回す少女を演じた森下愛子の小悪魔的魅力が炸裂した映画だ。妻に逃げられ未練タラタラのくせに、彼女と一線を越えてしまう主人公の気持ちが痛いほど分る。それくらい魅力的。主人公の結末は、まんまニュー・ファミリーの終焉を意味する。
もっとしなやかに もっとしたたかに
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| 70年代後半に出現した、新しい価値観に基づく友だちのような新しい家族形態をニューファミリーと称していたが、本作での藤田敏八監督はこのニューファミリーの言動を否定的に描き、その中にひとりの少女を投げ込むことで、困惑し崩壊していく家族の様を見据えている。<br> 妻に家出されただらしない男(奥田英二=現・瑛二)は、偶然拾った自称18歳のグルーピーの少女(森下愛子)をアパートに居候させる。失踪した妻(高沢順子)は実は男の親友(風間杜夫)を頼ってスーパーに職を見つけるが、結局は夫に発見されてしまう。<br> 小悪魔・森下愛子の個性はこういうシチュエーションでこそ生きる。建前だけをとりつくろったニューファミリーに対して、その若い肉体だけを武器に活きる少女に扮した森下の、心地よい疑似家庭破壊ぶりには拍手を送りたくなるほどだ。(斉藤守彦) |
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