「ジゼル」、「眠れる森の美女」に続いてKバレエカンパニーが贈る全幕モノです。オデットにヴィヴィアナ・デュランテ、ジークフリート王子に熊川哲也、オディールにモニカ・ペレーゴ、ロットバルトにスチュワート・キャシディが扮しています。<P>今回特筆すべきは、オデットとオディールに別々のダンサーが置かれているという演出。この演出には多少なりとも話題を呼びましたが、結果は大成功! 個人的にはデュランテの黒鳥も観てみたかっただけに残念なのですが…。<P>今回は美術にヨランダ・ソナベンドを起用。彼女はロイヤルバレエのアンソニー・ダウエル版の白鳥の湖の美術も手掛けており、そういった意味でもとてもロイヤルのそれに近いものになっています。とにかく幻想的で、1幕、3幕は特に目を奪われます。<P>ダンサーとしては、とにかくデュランテが素晴らしいです! 流れるようなマイムで感情がストレートに伝わってきます。対照的にペレーゴは力強さを強調するような踊りです。また、今回もキャシディがとても魅力的なロットバルトを作り上げています。他の白鳥の湖では見ることのできない演出で、3幕の彼は必見です。熊川は演技的にも前回に比べ良くなっており、跳躍はやはり流石です。<BR>また、カンパニー内の榊原、長田の2名が好演しています! 1幕のパ・ド・トロワ、2幕の2羽の白鳥など、双子のように息があっており、踊りもとても安定しています! 長田はこの公演でオディール役に抜擢されていて、著しい成長を見せています。<P>残念なのは、カメラワークと照明。熊川のバレエ団だけあって、カメラは熊川を必要以上にアップでとらえることが多く、2幕でもデュランテのマイム中に熊川のアップが入ったりと解せない箇所が多くありました。ラストも1番の見せ場でアングルが良くなく、折角の場面の良さを半減させてしまってます。<P>照明に関しては、1幕で特に感じるのですが、光が強すぎて全体的に白くなってしまっています。生で観たときには感じなかったのですが、映像では顕著に現れています。1番ラストも同様です。<P>この白鳥の湖では、ロシア系のそれとは異なり、色々な意味でストーリーが重視されているように思います。例えば2幕。白鳥たちを矢で射ろうとする者たちを王子が止め、オデットが礼をするというシーンは、ロシア系のものでは王子がオデットを探すシーンとなっています。それは音楽的に考えれば前者が適当と思われますが、あまり観ることができないだけに貴重だと思います。<P>また衣装がとても凝っています! オデット、オディールもそうですが、1番目を惹くのは3幕でのロットバルトの衣装です。鎧兜をまとったような異質な衣装の多いこの役ですが、この熊川版のは全く異なり、とても魅力的です! また白鳥たちの衣装も通常のチュチュではなく、とても素敵な衣装となっています。1幕のパ・ド・トロワの衣装もとても素敵です。<P>有名な黒鳥のパ・ド・ドゥでは、通常の楽曲を用いず、ロットバルトのソロも組み入れています。<P>カメラワーク、照明と残念な点はありますが、必見です! できれば生で観ていただきたいですね。もし再演されることがあれば、そのときはデュランテも黒鳥をやってほしいなと切に望みます。
王子の心の起伏がマイムと表情でわかりやすく、青春の終わりの憂うつを感じられ、熊川さんうまいな、と思います。オデットのデュランテさんは感情たっぷり。オディールのモニカ・ペレーゴさんの切れ味のよいテクニック(すばらしい!)に触発されてか、熊川さんの回転がますます乗りに乗って笑顔満開!ヨランダさんの美術・衣装もすばらしい。幽玄美というか、妖しい美しさというか。熊川さんの舞台監督としての徹底した表現へのこだわりが全編を通して感じられます。
私は熊川ファンではありませんが、この白鳥の湖は面白かったです。第3幕はかなり省かれているシーンもあるので、中には物足りないと思う人もいるかもしれませんが、全体的にスピーディーで飽きさせないと思います。今さらですが、熊川のあの重力を感じさせないジャンプ力はすごいです。羽が生えているようで、どこまで飛んで行くんだ!と思いました。黒鳥役のモニカ・ペレーゴを初めて観たのですが、彼女の妖艶な雰囲気や踊りが私はとても気に入りました。舞台美術もきらびやかですばらしく、白鳥たちの衣装はオデット以外はひざ丈位のチュチュで、白鳥が踊るたびにフワフワと舞って綺麗でした。