デブラウィンガーの、引退した後の葛藤や、他の女優さんの女優らしからぬ生の声を通して、母親としての性を持つことの悩み、苦しみ、そしてその素晴らしさを改めて感じた。監督のロザンナ・アークエットの真剣さがとても可愛らしく、彼女の持っている問題が素直に伝わってくるいい作品となっていると思う。映画界の抱える問題にも言及されていた。ワイルド・アット・ハートや愛と追憶の日々など懐かしい映画をおもいださせてくれる女優さんの顔を、しみじみと感じる作品ともなっている。
テーマ自体は珍しくないし、それを語り合うのがハリウッド女優というのだから、あまり親近感は湧かない。選ばれた人の悩みを聞いても一般人にしてみれば「雲の上の話」で、それを見て「トップスターも悩んでいるんだ、私もがんばろう」という方程式は成り立ちにくい。しかし、確かに、かつて主役を張った女優たちが年を経て若手女優に取って替わられた後、失った若さを追い求めるのか、10年後20年後の再起を目指して踏ん張るのか、という選択は切実である。それを語った女優たちの勇気は尊敬に値する。スターは沈黙する。これが、ひとつのシンボライズされた形だった気がする。俳優の私生活は謎。それが、役について余計なイメージを与えない最善の方法。確かに私生活を公表する必要は全くない。どんな家に住み、どんな車に乗り、どんな家庭を築いているのか?それを知る必要はないと思う。しかし、何を考え、どう感じて、どんな作品をどんな信念の下に作ろうとしているのか。それは大いに興味の沸くところだった。それが語られたこと。それも米国内のトークショーではなく、映画公開という形で行われたことは、非常に画期的な試みだったのではないだろうか。
ドキュメンタリーとは言え、映画はやはり虚像でしかないという気がする。言葉をそのまま受け止めることは簡単にはできない。もちろん、年齢を重ねた女優のうちの何人かには、説得力のある人もいたけれど…。<P> 撮影は2001年だが、日本公開は2003年となったこと。今、この映画に出た女優たちは、この当時と全く状況が変わってしまったものもいる。例えば、D.レーンやS.ハーエック。アカデミー賞にノミネートされて、好調路線を走っているのに違いない。そして、C.ランプリングはオゾン監督作品で大活躍ときた。もちろん、彼女はハリウッドの人間ではないけれど…。