スーパーロボット、ザンボット3は巨大化しない。異次元を超えない。大声で呼んでも来ない。深海へ潜れば、浸水する。物語はご都合主義的解決はしない。主人公一家は人々に疎まれ、罵られていく。子供も死ぬ。<P>富野監督が『ザンボット3』で見せたリアルな活劇や冷酷な描写は、未来に向けた微かな希望の光へと収束していくドラマは20年以上の時を経ても色褪せる事はない。『ガンダム』は、間違いなく『ザンボット』から生まれたんだと、確信させられる佳作。
本放映時はまだ小学生にもなっておらず、全話ちゃんと見たのがLD-BOXとして発売された数年前。総監督である富野由悠季氏の作品が大好きでほとんど見ていたが、ガンダム以前の作品は見てはいるものの小学校に上がる前の事なので内容などはまったく覚えておらず、いつか見てみたいと思っていた。…見事に打ちのめされた。諸事情で作画監督不在という状況での制作だったそうで、作画レベルははっきり言ってひどい。しかし、それをものともしない魅力的な登場人物達が織りなすドラマはさすが富野監督と言ったところ。主人公「神ファミリー」が、敵との戦いで家を壊され、家族を失った人々に憎まれたり、ロボット(ザンボット3)の使用が道交法違反(笑)になるなど、これまでのロボットアニメの常識と言!われてきた物を壊しまくり、その後のリアル路線のまさに出発点となった。そして物語後半は賛否両論の「人間爆弾」の登場、舞台を宇宙に移しての壮絶な戦いと、超ハードな内容で進んでいき、序盤で感じた作品の粗さや古臭さなど見事に吹き飛ばしてしまう。最終回涙ながらに見終わったとき、人々に嫌われようとも、大切な人たちを失おうとも、人間のやさしさ、温かさを信じ戦い続けた神ファミリーは僕の中で新たな伝説となった。神ファミリー、そして制作スタッフ達の熱く真剣な闘いをこの機会にぜひもう一度見てみたいと思う。