日本のサスペンス・ムービーの代表作。<BR>個人的には「新幹線大爆破」とこの作品が秀逸だと思う。<BR>時代劇の活劇もいいが、現代モノのクロサワ作品もかなりいい。<BR>山崎努は、これが初出演の作品とは思えないほど凄い演技をしている。
黒澤監督が放ったサスペンス映画の大傑作。現代の映画製作、脚本、カメラワークなどあらゆるものに影響を与えている。黒澤監督は次々と素晴らしい作品を生み出したが、中でもこの映画は最高の部類に含まれるだろう。<P>恐らく「天国と地獄」はダブルミーニングになっていると思う。天国から地獄へという状況の変化を表しているのと天国に住む人たちと地獄に住む人たちの階層のことである。タイトル一つとっても流石と思わせられる。<P>物語は誘拐事件を描いたものであるが、冒頭から、犯人が間違えて別の子供を誘拐してしまい、人間関係を一瞬にして緊張させる。さらに「地獄」と名乗る犯人が極めて印象的。犯人を演じるのが山崎努で、日本映画が生んだ最も有名な登場人物の一人だろう。この映画を見れば誰でも山崎努ファンになると思います。モノクロで撮影されているが、一瞬だけ画面に色付けがされている。スティーブン・スピルバークが「シンドラーのリスト」でこの手法を真似ている。<BR>誘拐事件を描いたサスペンスであるが、社会矛盾を描くことにも黒澤監督の視線は注がれているようだ。<BR>黒澤映画はどれも凄いが、この映画は本当に凄い。一生に一度は見る価値があると思う。
黒澤の最後の名作。よく練られたストーリーで緊迫感満点。ただし冒頭の靴屋の重役3人の紹介の台詞は、いかにも説明調で吹き出す。またこの人の映画では毎度のことながら、大勢がいつせいに同じやうに反応する演出がをかしい。子供が解放される場面の音楽はパンパカパーンといつたやうなもので悪趣味。