前作と比べてしまうと、内容的にも、盛り上がり的にも今ひとつ。<BR>　しかし前作より、原作の雰囲気は出ていたように思う。<BR>　私は原作好きなので、なかなかその点では楽しめたけれど、<BR>作品としてみると、前作以上に、色々な事を盛り込みすぎていて<BR>微妙にストーリーが強引だった場面も否めない。<P>前作もそうでしたが、晴明に対する敵…今回は中井貴一さん。<BR>さすがの演技で、魅せてくれてました。<P>　まあ、内容云々外で、<BR>　萬斎さん好きならば観るのは当然の作品でしょう。　

	&nbsp;&nbsp;&nbsp;平安時代、都に鬼が現れては人の身体の一部を食らう事件が相次ぐ中、阿倍晴明（野村萬斎）は藤原安麻呂（伊武雅刀）の娘・日実子（深田恭子）が毎夜夢遊病のようにさまよい歩くことと、鬼の事件との関係性を調べることに。一方、その頃都では幻角（中井貴一）という男が次々と奇跡を起こし、人々から神のように崇められていた……。<br> &nbsp;&nbsp;&nbsp;夢枕漠による時代幻想小説の映画化第2作だが、前作を越える面白さ。キャストがそれぞれ役をつかみ得て好演し、また今回は中井貴一が風格ある演技で野村萬斎と対峙する。原作者自身による映画用オリジナル・ストーリーも天の岩戸など日本神話をベースにしたもので、ファンタジックな情緒は増すばかり。滝田洋二郎監督の演出も、前作との間に『壬生義士伝』を挟んだことで、より一層情感豊かなものがあふれ出ているのがいい。平安時代とCGIの融合も前作に比べ違和感がなく、肩の凝らない娯楽作に仕上がっている。クライマックスで舞いながら歩き続ける野村萬斎の姿は、まさに日本の芸の誉れであった。（的田也寸志）