戦後の貧しさとたくましさ、活気が素朴な自然と人々の中で熱くたぎっている。<BR>登場人物それぞれが葛藤を抱え、ぶつかりあう。<BR>熱を帯びて密な人間関係には憧れさえ感じた。<BR>思春期に揺れ動く長女の気持ちは時代を越えて共感できるだろう。<BR>別れのシーンはどれも温かい切なさである。<P>朝鮮人のエピソードは、ともすれば連結を強調しがちな高度成長期の物語に、<BR>人の気持ちという深みを与えている。<BR>40年前の川口は500もの鋳物工場があったのか、<BR>こんなにも景色が違うのかと、今の川口っ子には感慨深かった。
存在は知りながらも最近まで見ていませんでした、<BR>結果、大ショックです、早く見なかったことを後悔しています、<BR>高度成長期の青春ドラマ、在日問題を題材に、吉永小百合、などはもちろんのこと、私が驚いたのは浦山監督のダイナミックな画面作りです、<P>画面左右の大きな広がりと深い深い奥行き、この二つに支えられた出演者と背景のダイナミックな動き、上下左右に縦横に動くカメラ、なんという鮮やかさでしょう、本作に比べれば黒澤もスピルバーグも全盛期のマイケル・チミノもずいぶんスケールが小さく感じます、ストーリーがストーリーなので地味な印象をあたえるのでしょうが、これこそがアクション映画だと思いました、浦山監督が戦争映画をとっていないかこれから調べます、浦山にはまりそうす、
浦山監督の師匠今村昌平が脚本にテコ入れしただけあって、随所に激しいけど包容力のあるリアリズムが見られますが、浜田光夫&吉永小百合のコンビ作品でありながら、この映画が凡百の青春映画と一線を画したそのちがいは、在日朝鮮人の帰国問題を取り上げている点にあります。かつて深夜の民放で放映されたときに、おそらく朝鮮や朝鮮人を指すセリフになんでしょうが、ピー音が幾度も連発されて、結果的にただならぬ差別的事情を演出してました。それにしても「ヨシエと三吉」という姉弟のキャラというか、ずばりその顔なんですが、これがとてもいい顔してます。こういった「子供なんだけど子供らしくない顔」という子役がほんとうに今の日本には少なくなりました。最後にもうひとことだけ。三吉たち悪童、牛乳泥棒をして小船で河を逃げると、配達の少年がべそをかきながら追いかけてくる場面があります。朝靄の風景のなかでのろのろとしか進まない小舟の進みの鈍さに悪童達のばつの悪さが演出されていて、なんて美しい映画なんだと感激しました。