この作品の概要については、多くの人が語られているので私は細かい所で<BR>『バックパックにご注目』と申し上げましょう。<BR>最初の寄港地である香港では『いかにも新品！何処に何が入っているか<BR>分かりません』という感じなのですが、これがパキスタンの国境を<BR>越える辺りから『必要な所に必要なものだけがキチンと入っています』<P>という貫禄を醸し出しており、この1点をとっても、スタッフ一同は<BR>きちんと旅をしたんだな。と納得の出来る作品だと感じます。
「映像は原作を超えられない・・・。」よく耳にする言葉だが、この<BR>「深夜特急」に関して言えばそれは当てはまらない。旅のもたらす<BR>興奮、思いもしないハプニング、突然おそう空虚感など旅人が経験<BR>するであろう様々な体験を、葛藤や自分自身との対話をくり返し<BR>進んで行く人間心理を緻密に描き出している。<P>話もさることながら、各国ごとの風景や町並みの映像も美しい。<BR>これを見た後で、旅に出たい衝動にかられているのは、決して自分だけではないだろう・・・。
主人公の一人称で物語が進んでいくのですが、ドキュメンタリータッチのせいか、視聴者も同行しているかの錯覚を起こさせてくれる、斬新な切り口で未曾有の作品だと思います。井上陽水のテーマソングが後押しして、この作品のアンニュイ色を濃厚にしていますね。大沢たかおのキャスティングに賛否両論あるようですが、私個人ではイメージ通りでしたね。ただ、今現在の大沢たかおの方が味が出てて、はまり役なのではないかとは思いますが。旅先で出会う外国人もツワモノ揃いで且つ、行く先々でのカルチャーショックを受ける主人公を巧みに描写できてます。これも旅の醍醐味。<BR>繰り返し見たくなる作品です。
