この映画は、本当に素晴らしい映画です。「映画」への”愛”が全編に溢れています。映画が人々の生活に楽しみをもたらし、生活の中で映画が大切にされていた時代へのオマージュであり、映画の素晴らしさをもう一度伝えたい、という想いが覆っているように感じられました。そして、映画文化を支えている人たちを応援しているように感じました。<P>物語は、映画監督として成功したトトが、故郷シチリアに戻り、子供時代、青春時代を回想してゆきます。そして青春の続きが故郷には残っていました。誰もが故郷に感じる哀愁。場面場面で使われるエンニオ・モリコーネの曲が素晴らしく、”宝物になる作品”だと思います。<P>オリジナル版を見るとどうしても劇場版との比較をしたくなると思うのですが、これからご覧になる方のために、「どちらも見てほしい」とだけ申し上げておきます。<BR>監督は、劇場版での思い切った編集で、二つの「ニュー・シネマ・パラダイス」を作ったと思います。<P>劇場版が本編ということになるでしょうが、オリジナル版はサイド・ストーリー付、という表現になるでしょうか。経験的に言えば、劇場版、オリジナルの順番の方が味わいが深いと思います。<BR>それにしても、これほど大切にしたいと思わせる映画は滅多にないでしょうね。
主人公は母からの電話で、幼い頃親しい交流があった老人アルフレードの死を知る。30年ぶりの故郷、思い出される少年時代、青年時代の恋、そしてその時々に寄り添う名画の数々...。有名なあのラストシーンで振り返ることができるものは、劇場版と完全版ではずいぶん違うような気がします。劇場版は破綻の少ない名作で、純度の高い感動を得られました。完全版は年を取ることの残酷さ、滑稽さが挿入されてた分、もっとくすんだ色合いの、しかし不快ではない思いがよぎりました。完全版の各シーン、例えば映画館の末路、恋人とその娘、青年期と同じようなことをしても純愛ではなくストーカーめく中年男の悲哀は、少~青年期のシーンと対照的に配置されることで、より効果的に諸行無常の響きを奏でていますよね。より深くなる。僕は蛇足だとは思いませんでした。
完全版、劇場版、2通りのバージョンがありますが、<P>劇場版はアルフレッドとトトの友情がメインであるに対して、<BR>完全版は、劇場版で、端折られていた、トトとその恋人との愛を描いています。<P>劇場版で決してわかりえなかった感動を完全版を通してみることができます。<BR>人生、『たら』、『れば』と思うことが多々ありますが、<P>この作品でも、もしあの時こうしていたら、、、<BR>と主人公が思い悩んでも、もう元には戻らない、、、<P>『ある種の物事はいったん前に進んでしまうともう元には戻れない』<BR>という村上春樹の小説の一節を思い出させました。<P>それにしても、最後のシーンは、泣かない者は人間でない、、、と<BR>(大げさですが、、)個人的には思っています。