原作に忠実な作品。役者も然り、原作の数行の直接的な人物描写と共に、話の中で培われるそれぞれの登場人物から滲み出る匂いのようなものを、役者達に感じることができる。<P>財前は、教授になるまでは医局内の雑務に追われる日々。表に裏にと網を仕掛け、巧妙に立ち回っているようで、まだまだ若造、失敗もすれば若い女にも騙され、しかし余りうる外科医としての才能とチャンスに恵まれた、まさに昭和の男という感じだが、若い方にはこのあたりがギャップかもしれない。レトロでポップな昭和は現在のもので、実は汗臭く貧しかったということが。ただこの匂いこそ、この作品の魅力のひとつ。<BR>結末に満足した人もそうでない人も、観終えたら原作続編(続白い巨塔は文庫版の4・5巻です)にすすみ、もうひとつの結末も見届けて欲しい。財前が最後に選んだ道を。<BR>人がどのようにその人生を歩むべきか、何年経っても考えさせられる作品である。
現在、話題の人気テレビドラマの40年ほど前の劇場版。テレビの唐沢演じる財前外科医もよいが、若い田宮二郎演じる財前もとても切れる天才的かつ独善的外科医ぶりが良い。現在でも病院によってはあるが、病院の廊下等ですれ違っても、教授回診等の集団は明らかに患者や看護師の仕事に邪魔であり、医師たちが全く会釈もしない様子が、尊大な雰囲気を醸しだしている。ただ、外科手術の風景はかなりリアルで必要以上とさえいえるほど詳細なので、人によっては不愉快になりそうである。医療裁判の結末が意外に感じるのは私だけでしょうか。閉鎖的な大学病院では、今もこんな自己中心的医療なのだろうか。医療事故が減少しないのも当然か。患者の権利とかインフォームドコンセント等の概念の無い時代でも、真っ向から患者のためにだけ動いた医師の存在が感動を呼ぶ。
只今放送中の「白い巨塔」は、主役だけでも豪華なのにその脇を固める俳優陣も豪華で素晴らしい限りです。このDVDに出演の俳優の皆さんは個性がありまたドラマに相応しい配役となってるのではないかと思います。そして40年ほど前に書かれた原作を元にして田宮次郎さんや唐沢寿明さんの「白い巨塔」が制作されているのですが、現代の病院内部は変わっていないと言うのか実感です。必見の価値があると思います。皆さんも一度ご覧になられてはいかがでしょうか?