ペレを知らない世代が最初に見たサッカーの神、ディエゴ・マラドーナ。86年のメキシコワールドカップで見せた彼の存在感は衝撃的であった。その存在感を良くも悪くも伝説として残したのがアルゼンチン対イングランドの2つのゴールです。<P>「神の手」と言われたハンドのゴールですが、これは結果論でオマケです。しかし「5人抜き」は凄まじい。ハーフラインより自陣から単独でドリブル開始し猛突進と急旋回でイングランドという一つのチームを一人でかき混ぜ、ねじ伏せたゴール!これこそが一人の力が両チーム、ゲームを支配した瞬間でした。そしてこの大会の、この試合以降マラドーナは全てを支配し、最後には大会をも支配してしまいました。<BR>この時の実況していたNHKの山本アナのセリフは今でも印象に残っている。それは全ての視聴者が感じた事を見事に表していた。<BR>「さあー中盤からマラドーナ・一人かわして・・左右を見て・・・マラドーナ!・・マラドーナ!!・マラドーナ!!!マラドーナー!!!決まったー」<P>マラドーナのこれから起こるプレーを実況も観客も視聴者も誰も予測できなかった事が十分に表現されていた名調子。<BR>出来ればこの実況は入れて欲しかったです。そうすれば文句無く星5ツでした。<P>余談ですが86年大会は全てに新しく素晴らしかった。<P>予選から決勝トーナメントの道が現在の形に変わった初めての大会である事(出場は24カ国なので2グループ少ないため、各グループの3位争いがスリリングだった)。<BR>10万人以上の観客で埋め尽くされたり、ガラガラだったりのスタジアム。<P>予選からほぼ全試合のTV中継で自分の贔屓のチームを持てた事、特に予選のデンマーク、ソ連はピカ一。マラドーナはその究極へ昇って行きました。<BR>芝の青さ、太陽の眩しさ。<BR>日本人で初めてW杯のピッチに立った高田主審。<BR>ラウドルップ、リネカー、カレッカ、リトバルスキー、シーフォ等新鋭の活躍。<BR>ジーコとプラティニのW杯での別れ。<P>「3位決定戦なんて価値が無いよ」と言わんばかりのプラティニ率いるフランスの主要メンバーがベンチ入りしていながらジーンズにシャツ等私服だった点、等など。<P>20世紀後半の、このメキシコ大会は、それ以前の大会を含んで現在に至るまでワールドカップの転換期となった思い出深い大会です。
マラドーナの大会とまでいわしめた86年in Mexicoの伝説の試合。ゴッドハンドあり五人抜きあり! とにかく油の乗り切ったマラドーナは観ていてたのしいの一言! この頃はまだGKへのバックパスOK時代だったよな~。なんてことまで想いだしてしまいました。現在はジダンのプレーに神を見る僕ですがディエゴは永遠に不滅です。五人抜きの時のアナウンサーの実況はいまだに心に響きます。
その後の「5人抜き」ゴールがもし無かったとしたら、その後の彼は、「ダーティー」のイメージのみで、語られていたかも知れない事を考えると、つくづく天才の「紙一重」(笑)ぶりを思い知らされます。<P>「偶然」なのか「必然」なのかは誰にも断言はできないでしょう。<P>ただ、周囲の人々を、竜巻のごとく自分の作った状況に巻き込んでいく、ある意味『横山やすし』的(笑)とも言える圧倒的な存在感は、素晴らしいと言えるのではないでしょうか?