この巻では、はじめてラナの生まれ故郷である、ハイハーバーが出てきます。<P>人々は皆働いて生活し、麦作中心ののどかな田園生活をおくっています。<P>しかし、そんな所にも「規律に従わないはぐれ者」オーロがいます。<P>オーロにコナンとジムシーが捕らわれた時、ラナは一番大切にしていた<BR>母親の形見である宝石を差し出します。<P>のどかな田園でも、対立があり、策略がある。<BR>そんな現実を宮崎監督ははっきり見せてくれます。<P>また、ここで初めて出てくるフライング・マシンは面白い発想です。<BR>反重力によりゆっくり飛ぶ未来の飛行機。<BR>コナンの中で2隻でてきますが、最初のものは数人乗りで、<BR>茶碗のような形をしています。<P>次に出てくるのは、飛行機型で、10人くらい乗れるスペースがあ、<BR>簡単な台所もついています。<BR>おそらく建造当時、観光に使われていたと思われるものです。<P>ロボノイドという、人間が乗って動かすロボットとともに、<BR>宮崎監督の発想の面白さには感服します。
冒険活劇のヒーローやヒロインは、いわゆる「親の顔がみたい」とか「普段何をして食べているのか」といわれて答えられないことが多いものです。<BR>第4巻では少女ラナの生まれ故郷での物語。<BR>普通に暮らし、普通に規則や規律を守り、普通に「困ったやつ」がいる世界。<P>こうして、未来少年コナンの日常も、私たちの生活とはさほど違わないのだといううまい演出。<BR>私もハイハーバーで暮らしてみたい。<BR>そんな宮崎駿の冒険活劇のルーツ、第4段。おすすめです。
第11話ではフライング・マシンが初登場。反重力により飛行する乗り物で、屋根には展望装置まで付いている。茶碗蒸しの器みたいな外見も相まって、のんびりした乗り物に思えるが、その堅牢さから考えると、戦闘にもじゅうぶん耐えそうではある。してみると、展望装置とおぼしき部分も、実は銃座として使うために設計されたのかも知れない。<BR> 第13話からは、ラナの故郷・ハイハーバーに舞台が移る。平和でのどかな国であるが、決して楽園ではない。そのことは作中でも明確に描かれている。暴れ者のオーロとその一味ばかりがハイハーバーの危機ではない。慣れぬ労働に耐えかねたダイス船長の行動は、我々の胸にこたえる。平和な日常を維持することのつらさ、きびしさ。<BR> 宮崎駿は、数々の作品でユートピアめいた世界を描いてきた。本作ではハイハーバーがもっともそれに近いものだろう。しかし、宮崎が描くユートピアは、常に「大崩壊のあとに築かれた」か、でなければすでに失われたものとして描かれている。その現実認識をニヒルとみるか、夢想的とみるかは、意見が分かれるところだろう。いずれにせよ、宮崎のユートピア像に苦さと暗さがつきまとう点は、注目すべきである。