メッセージ性というか、主題となっていることは素晴らしいと思う。誰だって、その気になれば何でもできるんだ、ということには共感を持つことができた。(もちろん、個人で原爆を作ることを奨励する映画では全くない。)原爆を作っても、日本政府に要求したいことは特に見つからないし、その代わりに英雄的な刑事(文太)に会話を求めるというのも、現在においても色あせないテーマだと思われる。<BR>しかし、少々映画のセットとか展開が安っぽいように感じた。わざとしているのかもしれないが、それにしては中途半端だという印象だった。<P>ほかの人も言っていますけど、東京の懐かしい光景とか、車とか音楽とか、別の部分でも楽しめました。ただ、これを日本映画の頂点に位置づけることには疑問を感じます。
フーセンガムを噛みながら原発を観察するジュリーの端整な顔から物語は始まります。意味深な皇居での事件をはさみ期待感が膨らみまくるストーリー展開です。特に原爆製造プロセスは何回観ても飽きません。本当に「グッド・ジョブ!」と言いたくなるカット満載です。ジュリーはカッコいい!最高!・・・しかし、原爆完成後、第3の要求あたりから映画の空気が変化します。終盤、菅原文太とのカラミ場面になると一気にアレレといった展開になってしまいます。前半の緻密さに比べて荒削り、ツッコミ所満載状態です。でもこのアレレな場面も何回も観たくなるから不思議です。途中でDVDをポーズしてまで観てしまいます。多数の方が感想として書いていますが、「パワーがあるから面白い」ということに尽きると思い!ます。監督の頭の中に溢れ出るアイデアが画面の中に納まりきれなくなった終盤部分の荒唐無稽さに大笑いするのも最高です。これはもう監督とジュリーが創り上げた70年代最後の宝物です。
昔(高校時代)、映画館で見た。そして時を経て今、DVDで鑑賞。なんと、感じ方が違った。(単に、私が年齢を重ねたせいだろうが)皆が名作だという理由が、きっと理解できた気がする。決して、沢田研二ファンとしてだけではなく、原爆という題材・スケールの大きさメッセージ性、全てにおいて心にズンと響く。映像的には時代を感じさせる若干の違和感はあるものの、現在こんな素晴らしい邦画は他にあるんだろうか。武道館をバックにしたビル屋上のシーン、そして、ラストシーンのジュリーのストップモーション表情は見逃せない!