リアルタイムで劇場でこの作品見ました。まず黒沢清監督の才気に圧倒されました。あどけない洞口依子の魅力に一目でノックアウトされたと思ったら、伊丹十三演じるマッドサイエンティストにたちまち全裸にされてしまうというあまりの急展開に、洞口依子の存在感が非常に脳裏に焼き付いたのを覚えています。その頃、洞口さんのインタビュー記事に「ふだんは喫茶店でバイトしてます」と書いてあったのを見て以来、喫茶店に入る度に洞口依子がバイトしてるんじゃないかと、ドキドキしていたという程、僕の学生時代に影響力(?)のあった衝撃的な作品でした。その後、篠山紀信のGORO誌上でのヌード写真が発表されたり、月9のドラマに出演したりした洞口さんですが、僕の中ではこの映画で見た洞口依子へのときめきが未だに鮮明に残っています。
先日、黒沢清監督の「ドッペルゲンガー」を見ました。予告編にも出てくるシーンですが、ヘンな椅子に座ってぐるぐる回りながら笑っている永作の絵を見ていたら、本作の洞口依子の実験シーンを思い出した。ヘンな機械は黒沢清と切っても切れないんですね。<P>この映画は独特の「宙ぶらりん感」がたまりません。ストーリーが疾走するわけでもなく、広がって行くわけでもなく、ただ同じところで足踏みしているような感じ……。それがたまらなく80年代っぽいんです。本作には今をときめく黒沢清の全てが詰まっている気がします。
最強の「だいがくせえ」映画である。<BR>ラストシーン、原っぱに立ち尽くす洞口依子がうたう♪ねむれ ねむれ 母のむねに♪はすべてのフニャチンモラトリアム野郎への鎮魂歌として、当時大学4回生でなーんにもないままなーんにもみつからないまま社会に放り出されようとしていた俺に熱く熱くひびいたのであった。