話としては不倫の末の心中という古代石器時代からのテーマで新鮮味はない。仕事も地位も金も人々からの信頼も何もかもをなくし、まわりのあらゆる人々を傷つけ、二人だけの世界に入り込む当事者の気持ちにいかに共感させるかが作家の腕であり、また監督の技量のためされるところだが、原作は心理描写が主体で微に入り歳を竅つから取りこぼすことはないが、映画となるとかなり苦しい。不倫を経験した人ならかなり共感できるかもしれないが、その他の人にとっては何を好き勝手なことをやってということだろうな。ただ、基本的には、物語として超能力と心中を使うのは禁じ手だと思っている。これを使うともうあとがないから。黒木瞳の大胆演技は大したものだと思う。もっとエッチな表情と声と言葉とそしてもっとグラマーだということはなかったのだが。
これは単なる不倫の話でなく、非常に奥深いテーマが隠されていると思います。それは「理想の死に方」ということだと思います。よくぞここまで表現してくれた、って感じです。拍手を送りたいです。
そのタイトル自体も流行語になったこの映画。<BR>その最後には評価が分かれるところだろう。<BR>死んでまで貫こうとする気持ち。<BR>それは誰にも邪魔できないものである。