香港映画監督の中では、映像と美術にこりまくるトニーオウ監督の佳作です。「夢中人」「さらば英雄 銃撃の彼方に」など、すべての作品に共通した映像へのこだわり、美術へのこだわりは、本作でも随所に見られます。好き嫌いは分かれますが、スタイリッシュな映像好みの人にはお薦めです。
いわずと知れた、芥川竜之介の同名小説の映画化である。僕はこの原作を読んでいない(致命的!)。でも、語ります。 <P>この物語で、竜之介と金花を引き離す装置として <BR>「国の違い」 <BR>「宗教の違い」 <BR>「重婚」 <BR>「貧しさの違い」 <BR>「性病」 <P>などが、考えられるが「性病」はやりすぎ、描写がリアルすぎて引きます。気持ち悪いです。竜之介はやっぱり日本人が演じないと感情移入できないような気がします。それにしても、救いようのない映画だった…。唯一の救いは金花を愛する、下僕の少年の存在かな。
とにかく富田靖子の演技が素晴らしい。<BR>キリストと愛する日本人男性を心から信じる無垢な少女の彼女の演技は圧巻だ。<BR>また、映像がとても美しい。モヤがかかったような独特の映像が、この映画の雰囲気にとても合っていて、富田靖子の迫真の演技ともいえるラブシーンが全くいやらしくなく芸術品ともいえる美しさであった。<P>最後に近い場面に「不可思議な日本」が出てきて(レオン演じる芥川の演技)その場面だけ失笑を誘ってしまうのが残念であるが、そのことを無視してしまえるほどにその他のシーンが素晴らしい。とにかく富田靖子の演技力と美しさと映像美にこの映画の魅力はつきる。<P>また、驚くのが、原作の芥川の「南京の基督」とこの脚本が全く違うことだ。原作は文庫本数ページの短編にすぎな。それを、芥川の実際の人生とあわせて見事な脚本に仕上げている手腕もすごいと思う。